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ゼロイチ発想を特権で押さえる

MNHは何がしたいのか? vol.5 アイキャッチ画像

ゼロイチ発想を特権で押さえる

※本連載はMNH菅会長のインタビューをもとにお届けしています。

寄せ集めからの新発想に加えて、MNHのものづくりの武器としては、ゼロイチの発想をとても重視している。

ゼロイチ発想は、0から1をつくり出すこと。ベンチャービジネス界隈ではよく聞く言葉だろう。MNHでは分かりやすいよう、「Tシャツ」を例に社内で共有している。

 

想像してみてほしい。「Tシャツ」という概念がなかったその昔。

白い下着のようなものを家で着ていたとする。

 

ある日ふと「この白い下着に絵を書いたら、外で着られるんじゃないか?」と思いついた。そして、実際にイラストを描いたことで、Tシャツという分野ができた。(と仮定する)

そして、世の中にTシャツというものが浸透し、いろんなイラストや柄をつけたTシャツが増えていった。

しかし、いったんTシャツという分野ができあがってしまうと、人々はえてして、デザインのことばかりに気を取られる。「このTシャツ、いけてる」「あそこのTシャツはダサい」といった具合にだ。

 

しかし、この話。商品開発の視点からすると、デザイン性で競いあうことよりも、Tシャツの概念を発明することの方が、ずっと重要なのだ。つまり、Tシャツの概念を発明するのがゼロイチで、デザインはその後の1→100の発想だ。デザインは、あくまでも大発明の余波にすぎない。


MNHの商品も、基本的に誰もが驚くような、新規性のある商品を目指してきている。ゼロイチ発想で世の中にないものをつくるのは、社会的弱者を絡めた商品を作るうえで、武器になるのだ。

 

また、武器という面でいうと、「知的財産権」抜きでは語れない。知的財産権とは、商標や特許や、実用新案、意匠のことだ。

 

例えば、Tシャツは今現在、誰の特許でもない。

ここで仮にTシャツという概念を作ったという人がいて、過去に特許を取っていたとしたら、後にどんなデザインを施されたとしても、大元の権利が保証されることになる。つまりその人が独占できるのだ。このように知的財産権は法律で保護されるため、強力な武器となる。

 

ちなみにその知的財産権の効力は、MNHでいうと、ゾンビスナックが分かりやすい。

 

ゾンビスナックという名前


この「ゾンビ」という名前。

ご存知のように、日本ではコスプレブームと相まって、2010年頃からハロウィンに仮装をするのが流行した。その流れで、仮装の定番である「ゾンビ」も注目をされはじめた。しかし、MNHはこのブームに先駆け、2009年に「ゾンビ」の商標を押さえてしまっている(*)。

 

例えば仮に今、他社が「ゾンビクッキー」や「ゾンビキャンディー」をつくろうとしても、名乗ることは不可能だ。このように、ネーミングひとつでその分野の商品を押さえられるのが、商標の絶対的な強みだ。

 

また、ゾンビスナックは、“人の形”をしたユニークなお菓子である。
実はこの“人の形”も、意匠権を取得している。そのため、似たような形のお菓子が出てくるのを牽制できている。

 

ここまでいくつか武器をあげたが、要はこうだ。
ブリコラージュの発想で、ゼロイチでTシャツをつくって、誰もがその価値に気づいていない時に知的財産権を押さえてしまう。

 

つまるところ、MNHはそういうスタイルで勝負している。

 

(*)MNHはパン及び菓子の分類で「ゾンビ」という商標を取っている

 

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