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未来へ踏み出す時が玄米デカフェきた ~ CFO候補者の募集にあたって~

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Part.1  なぜ今、人材が必要なのか?

現在、MNHではCFO候補者の募集を行っています。

創業から16年。MNHが何を大切にしてきて、どこに立ち、何を見据えているのか? 

CFOという立場に何を期待しているのか?

この募集を機に、MNHの今をお伝えしたいと思います。

 

———今回のCFO候補者の募集は、私自身、社運をかけた決意であり、
ぜひ想いを共有できる方と一緒に仕事をしたいと願っています。

私たちがやってきたことや、めざすものをご理解いただけたら幸いです。(小澤尚弘)———

 

 

 

「ソーシャルビジネス」とは、とても根気がいるビジネスだ。

長年やってきて、つくづく、そう実感してる。
その典型が当社の「玄米デカフェ」だ。

 

「お米離れが著しい日本において、経営がひっ迫するお米農家を守るために、
新しいお米の価値をつくりたい」

 

そんな想いから、2014年より山形県庄内町の工房で焙煎を試みた。
独自にレシピを開発して販売するも

満足いく品質に至るまでには、3年ほどかかった。

 

最初の頃は売り上げも低空飛行が続き、事業撤退を考えたこともある。
だが、そのたびに初心を思い出して、継続する選択をしてきた。

 

ようは、何度も浮き沈みがあるなかで、踏ん張って踏ん張って、
大切に育ててきた商品なのである。

 

玄米デカフェが「未来の飲みもの」に変わる

 

しかしながら、そうこうしているうちに、目の前の世界がどんどん変わってきた。

 

もとよりコーヒーの生産は、環境破壊が指摘されている(*1)。
さらにコーヒー2050年問題(*2)により、
世界各地で地球環境に配慮した「代替コーヒー」が続々と開発されるようになった。

 

近年もコーヒー豆の価格高騰は止まらず、
日本茶や紅茶の価格上昇も見込まれるなか、
サスティナブルな飲みものの需要は一層高まるといえるだろう。

 

かたや、お米の問題も深刻さを増している。

 

異常気象やインバウンドの需要などにより価格高騰が続くなかで、
肝心の農家の担い手はというと、減少の一途をたどっている(*3)。

主食であるお米が普通に食べられなくなる危機が、
恐ろしいことに、目の前まできている。

 

そんな世界情勢の一方で、私の肌でも追い風を感じている。

 

百貨店のポップアップ店舗での店頭では
「ノンカフェインで体に優しい」という点よりも、
「お米でできている」点に着目する人が増えてきた。

 

海外でも、その反応は上々だ。
2025年4月のシンガポールでの展示会で、
玄米デカフェを試飲した人は口々に言った。

 

「“ジャパニーズ・ライスコーヒー”はとてもおいしいよ!」
「ナイスな飲みものだね」

 

彼らの目の輝きを間近で見て、世界でも需要があるのだと実感した。

 

以上のことから、玄米デカフェが今後「未来の飲みもの」に変わっていくと確信している。

 

(*1)コーヒー農園での農薬や化学肥料の使用、森林伐採や土地の乱用などが環境破壊につながると指摘されてきた。

 

(*2)地球温暖化による気候変動により、
世界のコーヒー豆の生産量の約6割を占めるアラビカ種の栽培に適した地域が、2050年までに半減するという問題

 

(*3)日本では高齢化と後継者不足、米消費量の減少などにより、米農家が減り続けている。

 

 

成長の土台ができあがった

 

玄米デカフェを続けてきて本当によかったし、
MNHがやってきたことは間違っていなかったと思う。

この実感は、他の事業やプロジェクトでも同じだ。

 

例えば、障がい者の働く場づくり。

「法定雇用率が定められたにもかかわらず、
障がい者の社会進出がなかなか進まない現状に、風穴を開けたい」

 

その想いで、これまでに独自のスタイル
多くの福祉作業所(就労継続支援B型)と連携して仕事をしてきた。

手探りではじめたものの、2011年より相場の約3倍の工賃を維持している。

 

ちなみに、近年「障がい者雇用ビジネス」(*1)なるものが増えてきた
(世間では賛否両論あり、私が見ても本質からずれているビジネスもあると思っている)。

 

また、「農福連携」(*2)も盛んに推進されているが、
MNHの資源でも、そういった連携が可能だ。

 

障がいのある方とともに農業をすることは、
実は私のなかで随分前から温めているアイデアでもある。

 

一方、コオロギ事業においては、日本でパイオニアの位置にいる。

乗り出したのは、日本で昆虫食がまだ出ていない、2017年。
若者の働く場の支援のためにたちあげた
東京のコミュニティ工場の稼働を維持するために、

世界で需要のきざしがあった昆虫食に、あえて挑戦したのだ。

 

鳴かず飛ばずの時期もあったが、
タンパク質の危機や環境負荷の観点から、

次第に昆虫食ビジネスが注目されはじめ、
ベンチャー企業が続々と参入してくるようになった。

今や、世界において成長ビジネスの1つにもなっている(*3)。

 

2022年にはMNHが培ってきたノウハウを他企業に提供するなどして、
コラボレーション商品も手掛けている。

 

もちろんここまで来るのには、苦労や困難も多々あった。
ただし、このビジネスの真髄はそこではないと思っている。

 

手前味噌ではあるが、「MNHのやっていることに社会が追いついてきてくれた」
という感触があるからだ。

 

イメージで言うならば、レース競技において、
周囲のランナーたちはゴール(利益の最大化)をめざして勢いよく走っているのに、
我々はというと、“誰かのため”に走り続けてきた。

 

しかしながら周回遅れで走っていたら、
気づけば、いつの間にかトップになっていた。

そしてゴールの先にはたくさんの、その“誰か”が、笑顔で待ってくれていた。

 

MNHのやってきたことは、そのようなビジネスなのだ。

つまり、果てしなく根気がいるビジネスでありながら、
「やりがい」も果てしなくある。

これが我々の原動力だ。

 

———そして、今。
育ててきた商品ラインナップと世の中の情勢を掛け合わせてみた時に、
MNHという会社を成長させる土台ができたと考えている。

 

今後一番の成長エンジンとなる事業は、
現時点でお米にまつわる商品(*4)だと思っている。

その代表が「玄米デカフェ」だ。

 

MNHでは、すでに庄内町で10年間玄米デカフェをつくってきた”礎”がある。
すなわち米づくりの適地でる庄内町に、
工場や、地域の人と密な連携が可能な環境がある。
ライバルも少ない。

 

まさに今が踏み出す時なのだ。

 

以上のことから、これからMNHの事業(特に玄米デカフェ)を、
成長を加速させるフェーズに進めていきたいと考えている。

 

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(*1)企業が法定雇用率を達成できるように、
本業と直接関係のない農園などで障がい者雇用を支援するビジネスが、近年注目を集めている。

(*2)農業と福祉の連携とは、障がい者が農業分野での活躍を通じ、
自信や生きがいを持ちながら社会参画を実現していく取り組み

(*3)世界の昆虫食市場規模は、2019年には70億円だったが、
2025年には1000億円に達する見込みである。

 

(*4)MNHの商品では玄米デカフェのほかに、
「ひとスナック」「ゾンビスナック」などがある。

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